日本護謨協會誌
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有機促進劑の本性に關する研究 (第21報)
有機促進劑の檢出並に分析に關する研究 (第9報) 有機促進劑の新呈色反應に就て (其2)
島田 慶一
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1937 年 10 巻 9 号 p. 620-623

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抄録
市販有機促進劑28種に對するニッケル、クロム、マンガン及び鐵の各オレイン酸鹽の呈色反應に就て實驗を試み、オレイン酸クロムを除外すれば、此等は何れも、有機促進劑の檢出並に相互識別用の試藥として、甚だ有效なるを發見せり。研究結果を摘要すれば、次の如し。
(1) オレイン酸ニッケルは、グアニヂン類、チアゾール類及びヂチオ酸鹽類の各促進劑に對する檢出用試藥として、效果尠少ならず。就中、本試藥とマーキャプトベンゾチアゾールが發現する赤褐色、並にヂチオ酸鹽類が呈示する緑黄色は頗る鋭敏にして、相互識別の有力なる手段に供用し得べし。
(2) オレイン酸クロムは、供試有機促進劑の何れとも、呈色反應を惹起せず。
(3) オレイン酸マンガンは、グアニヂン類及びヂチオ酸鹽類に對し陽性結果を與ふる試藥にして、就中前者との呈色反應は、グアニヂン類に屬する各種促進劑の相互識別に應用するを得べく、又後者との呈色反應は、ヂチオ酸鹽が金屬鹽なりや、將た又水溶性鹽なりやを區別するに役立つものなり。
(4) オレイン酸鐵は、ヂチオ酸鹽類に對してのみ陽性試藥として作用す。而も本呈色反應は、ヂチオ酸鹽が金屬鹽なりや或は水溶性鹽なりやを、明瞭に判定せしむる資料と成るものなり。
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