抄録
(1) ヂフェニルグアニヂンとヂオルソトリルグアニヂンとの共融物を檢索する爲め、兩者の混合比を變へて、其の潤化點-融點曲線を作成し、其の結果共融物の存在せざることを知つた。
(2) ヂフェニルグアニヂンとヂオルソトリルグアニヂンとの同系の促進劑の併用がスコーチに及ぼす影響を各種混合比のものに就いて實驗、觀察し、此種促進劑の鹽基度に依ると思はれるスコーチ類似の硬化現象を認め且つ100°加熱の實驗にて潤化點-融點曲線の最低個所附近の配合によるものが比較的スコーチの傾向のあることを知つたが、實際的には何等影響がないと思はれる。
(3) 上記併用の加硫試驗の結果、加硫始發點は潤化點-融點曲線の最低附近の配合のものが比較的速であり、此點スコーチ試驗とよく一致して居るが、極めて明確な結果は得られてゐない。
(4) 此種鹽基性促進劑の加硫時に於けるステアリン酸に依る影響を窺知せむが爲め、夫々ワセリン、乃至はステアリン酸亞鉛等を配合せる混和物と比較し、特にステアリン酸がグアニヂンを中和して、其の促進效果を妨害し、加硫を遲延させることを知り、前項實驗結果の明確ならざる所以を解説するを得た。