日本ゴム協会誌
Print ISSN : 0029-022X
ゴムの加硫反応速度について
西田 政三古川 淳二
著者情報
ジャーナル フリー

1951 年 24 巻 5 号 p. 137-143

詳細
抄録
加硫反応を速度論的に取扱つた報告は殆どない。純化学的に取扱うには、基礎反応が明かでないため難しいが、加硫による彈性の強化が最も鋭敏で、且測定も比較的簡單である。ここでは彈性とゴムの網目数に関する Flory の関係式と、著者等の実驗結果とを用いてT.T. 單独、MBT及びMBTとDPG混合物と硫黄による加硫の場合、極限の加硫度ν∞、t時間後のそれをν、速度恒数kvとすると次の実驗式が良く合う事が分つた。
dν/dt=kv(ν∞-ν)……(1)
又同硫黄量を用いても促進剤の多い程ν∞が大となる事は、硫黄を多くしたときも同じであるがそれよりも効果が大きい。νの生成に対する硫黄消費量は硫黄單独加硫に比べて、促進剤を用いると少くなり、MBTの場合、加硫ゴム強度と、νの関係から推定した値4)と良く一致する。此の事実はゴムの構造に対する1つの示唆となる。温度の影響はアルレニウスの式に從う。
著者関連情報
© 一般社団法人 日本ゴム協会
前の記事 次の記事
feedback
Top