1953 年 26 巻 6 号 p. 319-323
本報は加硫ゴムの劣化過程に於ける網状構造の変化について檢討したものである。加硫ゴムは酸素、熱等の劣化により硬化し或は粘稠化し強度を失う。かかる劣化過程に於ける網状構造の変化をゴム-硫黄系及びゴム-硫黄-促進剤系加硫ゴムについて眞空中並に酸素の存在下で檢討し、何れの場合にも劣化によつて架橋硫黄は減少しない。むしろ増加する傾向があり、またゴム-硫黄系加硫ゴムに於て酸素の存在は架橋硫黄の増加を促進する。ゴム-硫黄-促進剤系加硫ゴムに於ては膨潤から求めた網目は劣化と共に減少し網状構造の崩解を示しているが、Zapp の方法によつて求めた架橋硫黄は増加することを確認した。