日本ゴム協会誌
Print ISSN : 0029-022X
加硫ゴムの研究
(第1報) MBT加硫天然ゴム及びGR-S配合の老化による2~3の性質の変化について
森田 栄一
著者情報
ジャーナル フリー

1954 年 27 巻 12 号 p. 802-809

詳細
抄録

促進剤MBTを用いて加硫した天然ゴム及びGR-S配合を70°Cで1~2週間又は130°Cで3時間加熱老化して網状構造に関係する老化前後の性質を測定し、次の如き結果を得た。
1. 70°C老化では天然ゴム•GR-S共に硬くなり膨潤度は減少し、切断反応よりも架橋反応が盛んであることを示した。
2. 膨潤度の変化より130°C老化では天然ゴムの場合切断反応も激しいことが認められた。GR-Sの多い配合め場合は130°Cでも膨潤度は減少し、網状化が盛んであることを示したが、加硫の程度を考慮して両温度に於ける老化後の硬度、E0.5, 膨潤度等を比較すると、GR-Sの場合も低温よりは高温老化に於て切断反応は一層激しいことが推定される。
3. 老化により遊離硫黄は一般に減少するが、老化前加硫の進んでいたものには70°C1週間老化後反対に遊離硫黄が増加したものもあつた。
4. 硫化亜鉛は130°Cで加熱後凡て増加したが、70°C老化後では膨潤度の減少にも拘らず、多くの場合硫化亜鉛は寧ろ減少し、硫化亜鉛生成に伴う架橋反応は殆んど認められないので、分子間の架橋には2, 3の異る形式の反応があつて、加熱条件により夫々架橋に関与する割合が違つて来るもあと推定する。

著者関連情報
© 一般社団法人 日本ゴム協会
前の記事 次の記事
feedback
Top