日本ゴム協会誌
Print ISSN : 0029-022X
合成樹脂製漁網用浮子の試験
高沢 茂治
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1954 年 27 巻 8 号 p. 535-538

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抄録

ポリスチロールとPVC発泡体漁網用浮子の市販品は実用に際し、如何なる条件下に置かれるかを記述し、併せて此等の要求条件とそれに該当する試験には如何様な挙動を示すかを報告する。漁業々者は之等を概括し「合成樹脂製浮子」(Kunststoffe-Schwimmer) と称している。各種の異つた型と、そめ製法に関して撰択に感情を交えたり、試験結果と実用に於ける作用とを直接結びつける考えはない。合成樹脂加工業者は各々の判断に於て適材を適処に配し、且つ最も適当な加工方法を以て此の方面に於ける今後の発展と成果を挙げることを希望する。
漁網が浮揚するためには海綿体が使用される。材料としては軽量木材、樹皮、その他各種植物部分の木材質、特殊の茎より成つているが、多くの場合コルクが使用される。又動物質のものより出来ているものも使用される。これにはタールを塗つたもの、或いはゴム引きの亜麻布の袋、ガラス又は金属製のもの等が好んで使用される。然るに戦後は合成樹脂の浮子が登場し、加うるに幾多の経験が既に積まれて来た。
詳細に試験した合成樹脂の浮子はPVCとポリスチロールを基体とした発泡体で、円筒型又は構円型である。漁業面に於て実用に供する場合には、種々の条件とファクターに依存し、実用に供される。そのためには先ず(1)浮子の浮力 (Auftriebskraft) と、長期間に於ける不変性(Konstanz) である。(2)加温下で網と共に洗滌したり、補修したりする時の耐熱性 (Temperaturbeständizkeit) である。(3)冬期、低温の海水で使用される際の耐化学薬品性 (Chemische Bestendichkeit) である。(4) 保存液(Konservierungslösungen) で手荒に網を扱つた場合何うしても避けられない衝撃に対する機械的特性 (mechanischen Eigenochaften) 以上である。

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