日本ゴム協会誌
Print ISSN : 0029-022X
ブレンドゴムの低温特性
加硫ゴムの低温における挙動(第4報)
高野 良孝丹野 博実鮫島 博
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1967 年 40 巻 2 号 p. 103-115

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抄録

主要なゴム, 合成ゴムの日常使われるブレンド系につき低温における緩和弾性率の挙動から相溶性を考察し, 特にNBR, CRのような耐寒性不良のゴムのブレンドによる低温性改善につき調査検討した.ブレンド系としては, NBR-NR, SBR, BR, CR-NR, SBR, BR, SBR-NR, BR-SBR につき検討した.
代表的なNR-NBR系につき, 凍結破断面のレプリカ法による電子顕微鏡写真から, NRの海相中に直径数μ程度のNBRの島相が浮かぶミクロ不均一分散系を推定し, しかもNBR分率0.6~0.8間に海相, 島相が転相することを確認した.緩和弾性率の温度依存性からも両相は明らかに分離しているが, 単純海島機械混合系とはやや挙動が異なり, この点につき考察した、扱ったブレンド系のうちNR-CR, NBR-BR, NBR-SBR, CR-SBR, CR-BRはNR-NBRとほぼ同様な挙動を示す2相分離系であり, SBR-BRは相溶性良好で, NR-SBRはそれらの中間を示した.以上の結果から, ブレンドゴムの低温挙動およびNBR, CR, SBR, などのNR, BRブレンドによる耐寒性改善法につき考察した.
また低温におけるNRやCRの結晶化硬化を防ぐ具体的な良法は現在ないが, 相溶性良好な非結晶性ゴムをブレンドすることにより, 著しく結晶化速度がおそくなることがわかった.

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© 一般社団法人 日本ゴム協会
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