日本ゴム協会誌
Print ISSN : 0029-022X
天然ゴムへのN-アクリロイル-ω-アミノ酸およびそのエチルエステルのグラフト重合
香西 保明池田 能幸友国 治隆
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1972 年 45 巻 12 号 p. 1081-1088

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抄録
主としてN-アクリロイル-β-アラニン, N-アクリロイル-ε-アミノカプロン酸およびそれらのエチルエステルの天然ゴムへのグラフト重合をラジカル開始剤を用い各種条件のもとで検討し, さらに得られたグラフトポリマーの性質を若干調べ, つぎの結果を得た.
N-アクリロイル-β-アラニンのグラフト重合: 1) 重合溶媒はトルエン-ジオキサン (2:1) 混合組成が適当であり, 開始剤はBPOおよびAIBNが有効である. 2) モノマー濃度は高いほど良性なグラフト結果を与える 3) 最適重合温度は80~100°Cである. グラフト率の高いポリマーほど水およびエタノール中では膨潤しやすく, ベンゼンおよび四塩化炭素中では膨潤しにくい.
N-アクリロイル-ε-アミノカプロン酸のグラフト重合: 1) 重合溶媒はトルエンが適当であり, 開始剤はBPOが有効で, しかも最適濃度がある. 2) モノマー濃度はゴム1molに対して2molの場合最も良好なグラフト結果を与える. 3) 最適重合温度は80°Cである. 4) グラフトポリマーはベンゼンおよび四塩化炭素にかなり溶解し, 膨潤度はグラフト率80%付近でピークを示す.
なお, N-アクリロイル-γ-アミノ酪酸およびN-アクリロイル-ω-アミノ酸エチルエステルの天然ゴムへのグラフト重合についても若干検討した.
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