抄録
ゴムの溶媒き裂の機構を明らかとするため, 芳香族, エステル, ケトン系の各種溶媒中でき裂成長実験を行なった.各溶媒中でのき裂成長速度は伸張比に対してよい直線性を示し, 臨界伸びは溶媒の違いにかかわらず一定となった.またき裂成長速度は分子容の小さいほど大となる。υ/αを拡散速度で整理すると, その傾きは, 芳香族エステルケトンの順となり, 溶媒系によってその促進作用が異なる.しかし, υ/αを膨潤速度でプロットすると1本の直線で表わされ, 同一ゴムの場合にはき裂速度は一定量の溶媒がゴム中に浸入する時間によってきまることがわかった.