PVC-ゾーノトライト混合系の力学的性質へのシランカップリング処理効果
1981 年 54 巻 8 号 p. 532-537
詳細
1981 年 54 巻 8 号 p. 532-537
PVC-ゾーノトライト (6CaO•6SiO2•H2O) 混合系についてシランカップリング剤処理 (信越化学KBC1003: 1%処理)による力学的性質への効果を調べた. KBC1003の場合, ヤング率及びE'(貯蔵弾性率) は未処理に比べて小さく, また引張強さの上でも未処理と大差なく, カップリング剤によるいわゆる補強効果は見られなかった. しかし, E″ (損失弾性率) の主分散ピークの温度シフトから求めたフィラー充てん量の増加に伴う見掛けのTgの上昇率は, 未処理に比べて高く, また, 表面硬さも未処理に比べて著るしく硬くなるなど明白な結合効果が認められた. このような一見矛盾した結果が見られた背景には, KBC1003のマトリックスに対する反応性の強さの程度が考えられる. すなわち, マトリックス側反応基が, ビニル基であることや混練特性のデータなどとも考えあわせ, 一部はマトリックスと反応し, 一部は未反応のまま遊離して, それが滑剤的な作用をすることによって, すべり効果と結合効果の両効果が, からみあった複雑な効果となって表われたのではないかと推察される.
