混練に伴う EFR コンパウンドのモルフォロジーの経時変化を, 光学顕微鏡及び電子顕微鏡を使用して観察した. コンパウンドの大半は, PI 配合により検討された. PI 配合とは, 前報に定義した EPRの混練加工性判別指標“PI値”を求めるための特定配合である.
EPR におけるカーボンブラックの分散機構を説明するモデルとして, 一次凝集塊が個々に又は集団をなして二次凝集塊の表面からはく離していく“玉ねぎモデル”を考えた. その数式表現は, 実測の粒径分布の経時変化を半定量的に説明することを示した. 粒子間引力が架橋ゴム高分子に起因するとして, McKelvey 理論を玉ねぎモデルに適用すると, その数式表現の基礎仮定が導ける.
本モデルを中心に粒状ペレットよりコロイド状カーボンにいたる混練の諸ステップを模式図により説明した. この機構は, 体積固有抵抗の微妙な混練経時変化を柔軟に説明できるものである. 凝集塊量の測定によって, PI値がコロイド状カーボン量に強く支配されることを見出した. なお, 顕微鏡観察による粒径分布関数と真のそれとの一般的関係式を導いた.