日本ゴム協会誌
Print ISSN : 0029-022X
自動車エンジン用ゴム材料の耐劣化油性
奥本 忠興杉本 正俊近藤 孝夫
著者情報
ジャーナル フリー

1986 年 59 巻 7 号 p. 418-424

詳細
抄録

自動車のガソリンの燃焼効率の向上及びエンジンの高出力化のためのターボ機構の採用により, エンジンフード内は高温となり, これに伴いエンジン滑潤油の温度は上昇し, 潤滑油は空気中の酸素により劣化されやすくなってきた. 最近エンジン潤滑油に接するゴム部品は実車に近い耐久試験において, エンジン潤滑油接触部に劣化油による硬化き裂が見受けられる. 本報では耐油性ゴム材料の耐劣化油性を評価するため, 空気吹込式の耐油試験装置を考案し, この装置を用いてニトリルゴム(NBR), アクリルゴム(ACM) などの耐油性ゴム材料の耐劣化油性を評価した. NBRは密閉式耐油試験装置を用いるとゴム硬さや破断伸びの低下は小さいが, 空気吹込式耐油試験装置を用いて潤滑油を劣化すると, 破断伸びは時間とともに急に小さくなり, 硬さは上昇する. またACMは比較的耐劣化油性に優れるが, 水が存在すると硬化劣化してき裂が見られる. このACMの劣化はエンジン潤滑油の添加剤が水により抽出され, 濃縮してACMを劣化したと考える. また各種耐油性ゴム材料を評価した結果, エチレンアクリル酸エステル共重合ゴム及び高飽和型NBRが耐劣化オイル性に優れることがわかった.

著者関連情報
© 一般社団法人 日本ゴム協会
前の記事 次の記事
feedback
Top