抄録
アクリル酸エステルによる天然ゴムラテックスの放射線加硫の特徴を明らかにする目的で, 線量とゴム物性との関係を四塩化炭素による放射線加硫と比較し, 更に放射線加硫したラテックスゴムの耐熱老化性を硫黄加硫法のものと比較した. アクリル酸エステル法は, 四塩化炭素法よりも少ない線量で加硫できることがわかった. 空気中70°C及び100°Cにおける耐熱老化性試験では, 四塩化炭素法及び硫黄法のものは老化が著しかったが, アクリル酸エステル法のものは, 耐熱老化性に優れていた. しかし,ゴムを水洗すると放射線加硫法のものは著しく老化が進んだ. これに対して, 硫黄法のものは水洗の影響は少なかった. 熱酸化反応が起きない不活性雰囲気中150°Cにおける耐熱老化性試験では, 硫黄法のものは水洗の有無にかかわらず著しく劣化したが, 放射線法のものの劣化は少なかった. アクリル酸エステルによって放射線加硫したラテックスゴムは耐熱性に優れているが, 水洗すると酸化劣化を受けやすくなるという特徴が明らかとなった.