日本ゴム協会誌
Print ISSN : 0029-022X
2層構造接着剤モデルによるポリエステルタイヤコードの耐熱接着力の改良機構
久木 博瀧浪 悟鈴木 聡一
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1989 年 62 巻 8 号 p. 515-522

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抄録

ポリエステルタイヤコードはTB用等の大型タイヤに使用すると走行時の発熱による接着力低下が起こる. この理由はゴム中のアミン化合物がポリエステル層まで移動して, ポリエステルを分解するためであることがわかっている. このため, 接着機能とアミン不透過機能を合わせ持ったラテックス接着剤が開発され, ゴム中での耐熱接着力を20%改良したラテックスが実用化されるに至った.
ここでは, 更に性能を高めるために, アミン不透過機能と接着機能を分けてそれぞれの機能の向上を図ったラテックスの検討を行った. この2種類のラテックスを用いて, アミン不透過機能を有する層と接着機能を有する層の2層積層構造から成る接着剤を開発し, 改良目標であるナイロンコードに匹敵するポリエステルとゴムとの耐熱接着を達成した.
アミン不透過機能の高いラテックスとしては, 架橋密度の高いポリマー構造を有するラテックスが適していることがわかった. 架橋剤を共重合して架橋密度を高くする方法, 及びポリマー中にカルボキシル基とピリジル基を持たせてその水素結合による架橋ネットワーク構造を形成させる方法が効果的であることが確認された.

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