日本ゴム協会誌
Print ISSN : 0029-022X
カーボンブラック/アイソタクチックポリプロピレン複合系の熱処理過程のPTC特性
呉 馳飛浅井 茂雄住田 雅夫河内 敏秀金子 郁夫
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1993 年 66 巻 11 号 p. 822-829

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抄録

カーボンブラック充てんのアイソタクチックポリプロピレン急冷試料の熱処理過程におけるPTC特性の変化を測定したうえ, マトリックス高分子の微細構造, 充てん粒子の分散構造の変化と関連つけて系統的に検討した. アイソタクチックポリプロピレンの-70°Cでの急冷試料はスメクチック晶を示し, 熱処理温度の増大とともに単斜晶への転移が現れ, 120°C以上の熱処理ては単斜晶の部分融解-再結晶化が起こり. それに対応して, PTCの大きさは最初増加し, 120°Cのところて最大値を示し, その後減少することが見られた. したがって, このようなPTC特性の変化は120°Cまてのスメクチック晶から単斜晶への転移に伴う結晶化度の増加, 120°C以上での部分融解-再結晶化に伴う粒子の再凝集によるものであると考えられる. 120以上ての粒子の再凝集はX線小角散乱測定, 各温度で急冷試料の電気伝導度の経時変化およびSEM観察により確認された.

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© 一般社団法人 日本ゴム協会
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