地理学評論
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縁組による讃岐山脈南麓町村の人口移動—縁組による人口移動の地域的研究 第5報—
合田 榮作
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1953 年 26 巻 9 号 p. 393-402

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抄録
(1) 離村者は入村者よりは多く,自町村内移動は最も少ない. (2) 女子が主體である. (3) 自村村内移動は廣い町村や西部の山間村に多い傾向がある. (4) 縣内移動は縣外移動よりも著しく多い上に,離村が入村よりも多く,出婚圏と入婚圏とは類似するが前者は東部に,後者は西部に廣く,通婚圏は近距離地域で,各形とは關係なく西部に廣い. (5) 縣外移動が入村より著しく多いが,通婚圏は近距離地域と都市地域とで,本籍移動者を除けば,近くは出婚圏としての,遠くは入婚圏としての色彩が強く,移動方向は北や北東で,殊に北へがその逆流よりは著しく強い. (6) 人口比率からは自町村内,縣内,縣外の順に多い, (7) 男子は近距離移動が多い. (8) 移動年令は22才をピークとして巾が廣いが,男子はピークが少しおくれ且年令別變化が少なく,町村別では西部に若い傾向がある. (9) 移動年も巾が廣いが1年前のものがピークで5年前のものは少なく,男子や離婚者や小さい町村は届出が早く古いものは少ない.移動月は3つのピークと3つの谷とをもつて冬から春に多く,夏から秋に少ないが,離婚のみでは,又町村別では餘り變化がない.
本研究は1952年度文部省科學研究費による四國山間村の縁組による人口移動の研究の一部であることを特記し謹しんで謝意を表する次第である.
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© 公益社団法人 日本地理学会
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