地理学評論
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崩壊団地とその形成機構—西丹沢大又沢流域を例として—
田中 真吾
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1962 年 35 巻 6 号 p. 263-271

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抄録
西丹沢山地には無数の山崩れがあるが,そのうちでも,とくに山崩れが密集している部分を,筆者は“崩壊団地”と名づけ,その形成機構を考察した。そのために,傾斜分布,土性,土壌深度,微地形その他を,団地とその周辺部で調査した。その結果,崩壊団地の周辺は団地内に比べ,急傾斜で,土壌の粒度は粗く,土壌深度は小さく,地肌はこまかい。さらに,団地内とその周辺との間には,かならず著しい遷急点がある。そのようなことから,筆者は以下のように考えた。すなわち,崩壊団地内は,団地周辺に比べ,前述のような遷急点の存在によつてはげしい下刻やそれに伴う削剥作用から長く保護されてきた。そのために,団地内には土壌層が比較的厚く,しかも,均一的な厚さに発達した。このような地域は,豪雨や地震が山崩れの誘因として作用する場合,地域内はどこでも,ほぼ同様な反応を呈するであろう。以上のような過程を通じて,崩壊団地が形成される。
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