地理学評論
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陸中北部沿岸地域の地形発達史
米倉 伸之
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1966 年 39 巻 5 号 p. 311-323

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抄録
(1) 陸中北部沿岸地域に発達する地形面は,高位面から次のようにまとめられる,最上位段丘 (水無面),上位段丘群 (広野面,三崎面,侍浜面),中位段丘(麦生面),下位段丘群 (有家面,種市面),沖積面.更に海底地形として種市沖海底段丘面,陸棚平坦面が認められる.
(2) 地形発達史からみて,当地域には4回の海進期があった.I: 水無面形成期 II:広野面形成期 III: 麦生面形成期 IV: 沖積面形成期.海水準変化をマクロにみると,新第三系堆積後の陸上削剥期に続くI期の海進と,その後の3回の海進期 (II, III, IV期)を伴う総体的な海退とが注目される.
(3) 総体的な海退現象中の II, III, IV期の海進は,地盤隆起運動に氷河性海面変化が複合した結果と考えられる.その海面変化の振幅の大きさ及び地盤隆起運動に対する海進時の海面上昇速度の相対的な大きさは,前半期より後半期において,地形発達により強く反映されていると考えられる.
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