抄録
北海道主部の南部海岸(釧路原野から勇払原野に至る間)の各地で発見された埋積谷や埋積段丘面について筆者他,数氏の既報告の再整理を行った.
一方,北海道東北部のオホーツク海沿岸の海岸段丘は数十kmにわたり, 80m, 40m, 20mの均一高度をもって連なる.これらの段丘は阪口によりC, T, K段丘と名付けられている.また,その沖合には-60m(砂又は細砂),-100m (岩盤又は泥), -140m (泥)の海底平坦面が広く拡がる.この中, -100m面 (X面)はヴュルム氷期後半の極盛期の埋積谷底形成期の波蝕台と考えられる.
オホーツク海沿岸ではユースタティク運動が地盤運動よりはるかに優勢であったという仮定のもとに,これらを基準高度として各地の相応段丘面及び相応埋積段丘面及び埋積谷底形成期の海底平坦面を調べ,各地のC時代からX時代に至る間の地盤運動の特徴を説明した.
南部海岸のうち,勇払・鵡川を除く地域はC-T期間は静隠,T-K期間で陸側の上昇,K-X期間で陸側の沈下で総計では地盤運動は概ね消去された形となっている.勇払・鵡川地域ではC-T期間, T-K期間を通じおおむね静穏で, K-X期間で陸側の沈下がいちじるしい.
また各河川共通の堆積層の特色は,大局的に粗→細→粗の変化の見られることである.次に,堆積層の岩相変化位置と埋積段丘面の位置がほぼ一致しているところが多いが,埋積段丘面 (K面)はヴュルム氷期海面低下過程の亜間氷期に作られたもの,すなわち海面低下の極相に先だって出来たもので,後氷期の海面上昇期中の停滞期の海面が,たまたま流K面付近にあったにすぎないことを説明した.