地理学評論
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四万十川下流地域の自然堤防
籠瀬 良明
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1973 年 46 巻 11 号 p. 731-740

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抄録

四万十川下流の洪水位は特別に高いが,そのことが本流並びに支流の沿岸平野に多くの影響を与えている.四万十川の既往最大洪水流量は17,000m3/Sである(昭10.8.29). また河岸の自然堤防は,川登地区では後背低湿地との比高で7.3m,四万十川の平水位との比高では14mである.それだけの高所を占めながら,その上の集落は昭和10年洪水には4.5mも冠水した.この時の洪水位は標高26mで,平水位7.5mとの比高は18.5m,わが国最高級の洪水位である.
本流が示したこのような高水位の影響は,その下流で合流する超緩流性の支流,中筋川の中下流部に大規模な逆流型洪水をもたらす.この洪水は,中筋川沿岸に普通の自然堤防と反対に,上流方向へ向って高度と幅を急減する形をとり,かつ甚だしく泥質の自然堤防を形成させた.

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