1975 年 48 巻 11 号 p. 784-797
日本の夏季気温分布型を客観的に表現し,その出現状態の長期変動や大気循環パターンとの関連を明らかにするために,全国50地点の7月および8月平均気温 (1901~1974) に主成分分析を適用した.
その結果,7月・8月ともに,上位2成分で全変動の80%以上が説明された.そして,第1成分は日本全国を同符号の気温偏差に導く主成分で,北太平洋高気圧の消長と密接な関連があること,また第2成分は北日本と西日本の気温偏差を逆符号に導く主成分で,チベット高原から東シナ海にかけて出現する上層の亜熱帯高気圧の消長と関連があることが明らかになった.各成分の経年変動とその組み合わせから,年々の気温分布型の出現状態が判明し, 1900~1910年代は全国低温型, 1950年代以降は北冷西暑型がそれぞれ頻出した年代であることが確認された.