地理学評論
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名古屋とその隣接地域における“アジアかぜ”の都市間拡散
空間的拡散研究の一事例として
杉浦 芳夫
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1975 年 48 巻 12 号 p. 847-867

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抄録
本稿の目的は,名古屋とその隣接地域における1957年のアジアかぜの流行を,モンテカルロ法を用いて,空間的拡散過程の観点から分析することにある. (1) ランダム・プロセス・モデル, (2) 通勤,通学者数から拡散確率圏を設定したモデルI, (3) モデルIに密度効果をくみこんだモデルIIからの模擬発生パターンを,現実の発生パターンと比較した結果,主としてモデルIからは,距離と都市規模が,更に,モデルIIからは,密度が,アジアかぜの拡散を規定していることがわかった.
しかし,現実の発生パターンを完全に説明するためには, (1) 通勤,通学者数を用いた確率圏の再考, (2) 人口規模別のコンタクト発生回数の検討, (3) 境界効果の設定, (4) 感受性に関係する変数の検出とモデルへのくみこみがなされる必要があると思われる.
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