地理学評論
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高層住宅の立地と住宅都市の変容—芦屋市—
藤岡 ひろ子
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1976 年 49 巻 3 号 p. 127-140

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抄録

近時の住宅都市における主要な都市の問題は,高層住宅の激増と,その対策である.第一次大戦前後より,大阪・神戸の郊外の住宅地として,その良好な環境が着目され,開発されてきた芦屋住宅都市も,第二次大戦の戦災を機に変容し,更に1960年ごろから急速に高層建造物の立地が進展した.「芦屋型住宅都市」の形成と,高層住宅の立地,集積とは極めて対比的なものがあり,後者の進展によって,「芦屋型住宅都市」の景観や,立地配置に,急速な変化がおこりつつある.高層住宅の,建造を推進する住宅資本と,人口圧とは,主として,神戸・大阪および周辺都市からの指向が支配的である.住宅都市の高層化は,中心都市の諸機能の発達集積にともなう,住宅機能分散の動きに対応するものであり,市域の地形や環境に適応して,新しい高層の建造物の集積区を形成し,在来の住宅都市に変容をもたらしている.

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