完全快晴時の大気中の気圧・気温・湿度の垂直分布がゾンデ観測によって既知の時に地表面での大気放射フラックスを計算する電算機プログラムを開発する.現用測器による観測値や従来の理論計算値と比較すると,このプログラムによる計算値には充分な精度がある.このプログラムによって計算した館野・稚内・鹿児島の3地点における大気放射の値を用いて, Brunt型実験式について検討する.その結果, Brunt型実験式のpercentofreduction (以後, P. R. と記す)は96%弱が限界であり,冬季には著しくP. R. が低下することがわかる.これは接地逆転の影響によるものと思われ,水蒸気圧の項の係数を接地層下層の気温減率の関数にすれば,P.R.は98.5%に達する.館野で決定された最適公式は,館野と稚内との間では汎用公式として利用できるが,館野と鹿児島との間では困難である.