地理学評論
Online ISSN : 2185-1719
Print ISSN : 0016-7444
ISSN-L : 0016-7444
今市扇状地における関東ロームの水分特性と比産出率
田中 正
著者情報
ジャーナル フリー

1980 年 53 巻 10 号 p. 646-665

詳細
抄録
地下水面の低下量とそれに伴う貯留変化量との関係から,関東ロームの比産出率を明らかにした.調査地点は,栃木県今市扇状地の畑地および水田で,表層約7mを関東ロームが覆っている.この地点で1973年4月から1974年1月まで, 7日~10日に1回の割合で中性子水分計を用いて,深度0.2~7.2mまでの土壌水分を20cm間隔で測定した.また,同じ地点においてガンマ線密度計を用いて関東ロームの湿潤密度を測定した.これらの野外観測とは別に,関東ローム構成土粒子の真比重と関東ロームの水分特性曲線を室内実験によって求めた.これらのデータに基づいて,関東ロームの水分特性に関する主要なパラメーターを計算した.その結果,以下の結論が得られた. (1)地下水面の低下量とそれに伴う貯留変化量との関係から求められる比産出率の平均は17%である.また,間隙率と比残留率の差として求められる比産出率の平均は19%であり,両方法によって求められた比産出率の値はほぼ一致する. (2)地下水位の上昇時には封入空気現象が顕著に見られる.この封入空気量から求められる吸水可能間隙率は12%である. (3)関東ロームのヒステリシス現象は毛管水縁の部分において顕著である. (4)関東ローム層中に生起する土壌水の挙動に関するいくつかの現象は,関東ロームの水分特性との関連において矛盾なく説明することができる.
著者関連情報
© 公益社団法人 日本地理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top