北アメリカにおける冬季降水量分布の変動と500mb面気流系の関係
1981 年 54 巻 10 号 p. 555-569
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1981 年 54 巻 10 号 p. 555-569
北米大陸における冬季の降水量分布と気流系の関係,および最近の気候変動の実態を明らかにすることを試みた. 1951～1978年の1月と2月の月降水量を主成分分析した結果,合衆国東部と北米西岸部における降水量の変動をそれぞれ説明する第1,第2成分,すなわち四つの主要な降水量偏差分布型が得られた.一方,同期間の月平均500mb面高度の主成分分析によっても,四つの主要な成分と四っの主要な気流型が得られた.各降水量偏差分布型が卓越した時の500mb面高度分布合成図を用いて,これらの型の関係を検討し,各降水量偏差分布型は,それぞれ四つの主要な気流型と対応関係のあることがわかった.
冬季における気流系の変動傾向としては, 1950年代前半は東西流が卓越し, 1960年代前半と1970年代後半は南北流が卓越した.また, 1963年頃以降,高緯度の寒冷域(極うず)が北米において拡大した.対象期間を通して,降水量は合衆国東部で減少傾向にあった.
