地理学評論
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中禅寺湖における湖水の混合とトリチウム収支
佐藤 芳徳
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1983 年 56 巻 10 号 p. 667-678

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抄録

本稿は,栃木県中禅寺湖において,環境トリチウムをトレーサーとして,湖水の混合および集水域内の地下水の平均滞留時間を明らかにした.現地調査は1978年7月29日から8月3日まで行ない,水平的に4点,それぞれの観測点で水深20mおきに湖水を湖底まで採取し,周辺の主な表流水および地下水も採取して,そのトリチウム濃度を測定した.また,湖の水収支を1952年から1977年まで1年ごとに計算した.水収支計算結果,トリチウム濃度測定結果,降水中のトリチウム濃度を入力として完全混合モデルを用いた湖水の平均トリチウム濃度の計算結果から,以下の結論が導かれた. (1) 湖への全流入量は平均6.09m3・sec-1で,湖水の平均滞留時間は約5,9年である. (2) 湖からの流出は,地下水流出が卓越し,平均4.76m3・sec-1,である. (3) 湖は, 1年周期で考えれば,完全混合しているとみなしてもよい. (4) 集水域内の地下水の平均滞留時間は4年以内である.

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