抄録
戦後における内外の気候学の発達状況を明らかにするために,すでに発表された報文を用いて各部門別に調べたが,第I章の全世界的展望においては, 1950年に創刊されたMet. Abs. and Bibliography (後にMet. and Geoastrophys. Abs.と改名)を使用し,国際十進分類法による10個の区分をそのまま利用した.一方,第II章の日本における場合については,多少これを修正改変した10区分法を採用した,原著報文を収集するのに用いたのは,地理学・気象学・農業気象学にわたる5学会誌と3官庁報告誌をもとにした.結局,第I章においては1950~1970年,第II章は1950~1975年の期間について,それぞれ5,930編および1,751編の報文を対象とした.
全体的にみた場合に第I章においては, 1965年以降漸増の傾向にあり,日本においても1976~1980年の5年間において同様のことが顕著にみられる.両者のいずれにも認められる傾向は,気候誌的なものが絶対数においては最も多く,一方,最近になるとともに増加の傾向の大きいものとして,動気候学および気候変動に関する研究があげられる.第2表および第3表はこれらの関係をよく示している.