地理
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讃岐の麥稈眞田
讃岐農村研究 第一報
河野 一夫
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1940 年 3 巻 3 号 p. 381-396

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抄録

以上述べて來た諸點を要約列記すれば次の如くなるであらう。
(1) 麥稈眞田生産業は、讃岐平野の農村につきての地理的性格の研究に深い關聯を持つ。特に我が國に於ける分布が瀬戸内に偏在して居る爲に、麻眞田、經木眞田等に比し檢討すべき幾多の問題をもつ。
(2) 今、本邦に於ける生産地を産額上より區分すれば次表の如くなる。以て讃岐の地位を知り得る。
一、副次的生産地域 a神戸地域 (漂白加工業) b備後地域 (四菱地域) c安藝地域 (四菱地域)
二、核心的生産地域 a備中平野地域 (五菱、意匠品地域)
b讃岐平野地域
c備讃瀬戸内諸島嶼 (四菱地域)
1高松平野地域 (四菱意匠品地域) 2丸龜平野地域 (五菱意匠品地域)
その各々の地域的個性について述べた。その際特に讃岐農村との比較上、備中平野地域を詳述し、その生産品種上より見たる地域區分を第五圖の如くなした。
(3) かゝる相異の決定要因追究の爲に、次に擧げたる四地域の微細耕作景の調査をなし、それが利用方法に關する實際的調査と照合して、分布決定要因としての役割を述べて置いた。 (第二表) 調査地域は
一、岡山縣淺口郡金光町裏見新田 一、岡山縣淺口郡黒崎村沙見海岸 一、香川縣香川郡一之宮村市場 (第六圖、第七圖) 一、香川縣香川郡川岡村松面 (第八圖、第九圖) である。
(4) かくして目的の讃岐農村の性格の一部分は把握し得た。
最後に本稿は、筆者の東京高師研究科卒業論文の一部分を拔書した爲本稿のみでは説明に不充分の所もあるが夫は他日を期したい。尚御懇特な御指導をいたゞいた田中先生始め教室の諸先生方並に調査現地關係の諸賢に謝意を表して擱筆する。

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