地理学評論 Ser. A
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セントログラフィック法による都市機能の空間的形状分析
水戸市を事例として
鈴木 厚志
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1984 年 57 巻 8 号 p. 549-570

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抄録

空間的分布の測定は,「平均位置」や「散らばり」だけでなく,これらに加えて「方向と形状」を論じる研究が行なわれるべきである.そこで本稿は,標準偏差楕円により,水戸市の都市機能の空間構造を検討することにした.時系列的な変化を把握するために,1972年と1978年の事業所統計より23業種を選定し,重心の移動と散らばりの変化をとらえ,さらに因子分析を行ない,その因子得点を標準偏差楕円により分析した.その結果,各因子の中心はおもに西方に移動し,「業務・大型店因子」のみ東方へ移動した.散らばりは,「業務・大型店因子」と「サービス業・買回り品小売業因子」が集中傾向を示した.形状は,「業務・大型店因子」が最も楕円的形状で,「最寄り品小売業因子」は円形的形状を示した.両者は各自の形状を強めつつある.このような形状を規定するものは,西方に広がる台地状の地形と城下町プランに求められると推察されるが,これらの影響力は後退しつつあることが明らかになった.

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