地理学評論 Ser. A
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赤石山地・三河高原南部の侵食小起伏面の性質と起源
須貝 俊彦
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1990 年 63 巻 12 号 p. 793-813

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抄録

赤石山地・三河高原南部の小起伏面の性格と分布を示し,従来の“山頂小起伏面=隆起準平原遺物”説の再検討を試みた.
まず空中写真判読により小起伏面を認定した.次に面の形態や構成物質の特徴などをもとに小起伏面を5タイプに分類した.さらに調査地域全域の小起伏面の分布を示し,面の起源を検討した.その結果,赤石山地・三河高原南部の小起伏面は,大半が侵食面であり,(1)山頂や高い尾根上に位置する面は,化石周氷河成平滑斜面の一部に含まれること,(2)厚い風化殻に覆われた丘陵状を呈する面は,山地の縁辺部ほど良く分布し,標高1,500~2,000mで消失することが明らかにされた.(1)は高位削剥面,(2)は隆起準平原遺物,とみなしうることが指摘され,従来の“隆起準平原遺物”説を再考する必要性が示された.

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