地理学評論 Ser. A
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凍結融解作用の機構からみた周氷河地形
松岡 憲知
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1992 年 65 巻 2 号 p. 56-74

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抄録
凍結融解作用の物理的機構に基づいて,周氷河地形の形成過程を論ずるうえでの問題点について述べる.地温が0C°直下に達したときに生じる凍結膨張によって,岩石は破砕され,土は凍上する.凍結膨張した地盤が融解するときに,沈下ないし物性の変化を起こすことによって物質が移動し,地形が変化する.その地形変化速度は,凍結融解の頻度,水分条件,地盤の物性など種々の因子に支配される.日周期性と年周期性の凍結融解作用の凍結(融解)深度の違いは,岩壁から落下する礫の粒径や斜面物質の移動限界深度に影響を及ぼす.気候条件(寒さ・湿度・永久凍土の有無など)と凍結融解作用(地形変化速度・変化様式・生成物質など)との関係を議論するたあには,凍結融解作用を支配する個々の因子を定量的に評価する必要がある.
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