1994 年 67 巻 12 号 p. 858-881
電気機械工業における複数立地企業の事業所展開について1企業グループを単位とした生産工場の展開を分析し,生産工場の機能的な変化を考察した.国内生産工場の設立は1960年代後半から1970年代前半と1980年代の2時期に集中し,海外においては国内生産工場の設立時期直後に集中する.国内生産工場は製品別に事業グループをなし,企業内分業が行なわれている。本社を中心とした首都圏とその周辺には各事業グループの統括工場や最終組立工場の集積がみられる一方で,国土縁辺地域においては,相対的に労働集約度の高い部門に特化する.R&D機能のなかで開発・設計機能は首都圏とその周辺に限定されるが,最終組立工場へ開発・設計機能の一部が移管される傾向にある.一方,国土縁辺地域においては,生産技術開発部門の移管が積極的に行なわれているが,企業内組織のなかでは依然として分工場としての位置にある.