1995 年 68 巻 9 号 p. 603-620
新潟県上越市高田市街地およびその周辺の1987年6月における天空率の分布が調査されるとともに,その前後3年間のLANDSAT/MSS画像7シーンを中川・大井(1992)の方法により処理して地表面アルベド分布が解析された.その結果,都市構築物のみによって天空の一部が遮蔽されている地点の地表面アルベドにはかなり明瞭な天空率依存性が認められ,高田市街地では天空率の変化により2~3%の地表面アルベドの地域差が生じていることが明らかにされた.さらに,LANDSAT/TM第6バンドのデジタル値にも市街地内における明瞭な負の天空率依存性が認められるとともに,地表面アルベドとLANDSAT/TM第6バンドのデジタル値の間に明瞭な負の相関が認められた.これらの事実は,市街地の発達により生じた天空率の減少で表現される表面形状の変化が地表面近傍での多重反射を増大させるために地表面アルベドが減少し,吸収日射量が増大して,少なくとも-部の表面温度が上昇する関係が実在することを示唆する.