地理学評論 Ser. A
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空間的移動に伴う心理的負荷量と限界距離を考慮した新たな近接性測度の提案
濱里 正史
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1999 年 72 巻 2 号 p. 116-128

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抄録

生活環境における利便性を明らかにする際には,いくつかの近接性測度を用いて多面的に検討することが望ましい.本稿はこうした立場から,空間的移動に伴う心理的負荷量(時間距離負荷量)および限界距離を考慮した新たな近接性測度を提案することにより,生活環境研究に資することをその目的とした.時間距離負荷量は,時間距離の関数であり,その導関数は単位時間距離負荷関数である.単位時間距離負荷関数は,沖縄本島中南部地域で実施した面接調査の結果に基づいて定式化し,時間距離負荷関数は,単位時間距離負荷関数を基に導出した・こうして得られた時間距離負荷関数を,累積機会測度に組み込むことにより,空間的移動に伴う心理的負荷量および限界距離を考慮した新たな近接性測度を構築した.その結果,新たな近接性測度では,距離減衰効果が対数関数として定式化された.また,新たな近接性測度は,生活関連施設が限界距離よりも居住地に近接した位置に存在することによって,居住者が被らずにすむ心理的負荷量の総計を示すものであった.

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