兵庫県南部地震による市街地被害の数量的評価のため,神戸市兵庫区・中央区の応急修正版住宅地図に基づいて震災被害率を計算した.家屋の被害には1950年の建築基準法施行が最も大きく影響していると考え,米軍空中写真を利用して市街地の戦災状況を判別し,震災被害と戦災状況を比較した.その結果,震災被害率は戦災の程度が大きいほど小さくなる関係にあることが確認された.その関係性を踏まえた上で,さらに1万分の1地形図を利用して震災被害率の空間分布の方位特性を分析した.その結果,戦災を免れた地区ばかりでなく,活断層に沿う部分でも被害が大きいことも判明した.このように空間的に市街地被害を評価することで,被害分布図のみでは判定しがたい家屋特性と活断層という被害要因の相乗効果を明確化することが可能となった.