地理学評論
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広域の大気状態が中部日本山岳地域の夏季の夜間冷却に及ぼす影響
飯島 慈裕篠田 雅人
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2004 年 77 巻 11 号 p. 716-733

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抄録

八ヶ岳連峰稲子岳の凹地で1997年夏季に形成された冷気湖について,中部日本の大気状態との関係を明らかにするとともに,平野・盆地域での夜間冷却との比較から,山岳地域における夜間冷却の形成条件を検討した.7月下旬の梅雨明け直後には,凹地では秋に匹敵する強さの気温逆転を持っ冷気湖が形成された.これは中部日本が梅雨明けをもたらした大陸からの高気圧に覆われ,山岳地域では顕著な乾燥と弱風という大気状態が継続し,放射冷却が強められたためと考えられる.一方,アメダス観測データによると,中部日本の平野・盆地域では,梅雨明け直後よりも8月下旬の方が冷却の強さや冷気移流が顕著であった.この違いは,平野・盆地域では,大気状態の変化よりも地表面の乾湿状態が夜間冷却の強さに影響を与えるのに対して,山岳地域では大気の乾湿と風速が夜間冷却の強さを大きく支配するためと考えられる.

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