冬季北西風の吹出し時に,日本の周辺海域には筋状雲が現われる.その中でも,日本の南海上ではしばしば太い筋状雲が発生する.本研究では,冬季3カ月(1, 2, 12月)のGMS (Geostationary Meteorological Satellite)可視画像を分析し,850hPaの風と対応させることで,このような筋状雲が下層風によって受ける影響を調べた.その結果,筋状雲の出現は風向だけでなく風速によっても変化することがわかった.筋状雲には風速の増加に伴い発生頻度が増加するものと,逆に発生頻度が減少するものが存在する.九州の東海上,四国の南海上に現れる筋状雲は前者にあたり,紀伊山地の風下,紀伊水道で発生している筋状雲が後者にあたる.また,風速の変化によって出現する位置が変化する筋状雲も存在する.四国山地の南東風下にできる筋状雲がこれにあたり, 850hPaの風速が増加するほど発生位置が北東に移動する.