地理学評論
Online ISSN : 2185-1727
Print ISSN : 1347-9555
ISSN-L : 1347-9555
エスニック・ビジネスを拠点としたエスニックな連帯の形成
浜松市におけるブラジル人のエスニック・ビジネス利用状況をもとに
片岡 博美
著者情報
ジャーナル フリー

2005 年 78 巻 6 号 p. 387-412

詳細
抄録

本稿では,静岡県浜松市におけるブラジル人のエスニックな連帯の様態を,エスニック・ビジネスの利用状況に注目することにより分析した.エスニック・ビジネス事業所は,財・サービスの提供のほか,同胞間の情報の結節点,ネットワークの構築,同胞援助,受入国との接点といった社会的機能や,母国文化の保持・発信,母国との紐帯,アイデンティティの保持・育成などの文化的機能を持ち,浜松市のブラジル人にとり「特別な場所」となっている.これら機能の発達は,「市場媒介型移住システム」をはじめとしたブラジル人の国際移動形態と密接に関連する.浜松市のエスニック・ビジネス事業所は,「開かれた」,「弾力性を持つ」エスニック・コミュニティの拠点として機能しており,ブラジル人の滞日が長期化する中,今後,一層その必要性は高まると考えられる.

著者関連情報
© 公益社団法人 日本地理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top