抄録
日本の「平成の大合併」にとって参考にすべき点があると考え,連邦国家ドイツにおける市町村地域改革と市町村の現状について調査した.市町村地域改革が1960~1970年代に実施された旧連邦州では,「市民に身近な政治」が重視され,当初漸移形態と考えられた市町村連合は単一自治体にほとんど移行することなく今日まで存続している.一方,1990年代に旧連邦州を模倣するかたちで実施された新連邦州の市町村地域改革では,いまだ小規模村が多く残存する州もあるが,市町村連合の多くは経済的利益を考慮して将来単一自治体に移行するものと考えられる.