抄録
本稿では,系統外出荷組織の1形態である集出荷業者の集荷・販売活動の特徴と産地維持に果たしてきた役割の解明を試みた.事例地域はミカンの集出荷業者の集積が著しい熊本市河内町である.その結果,集出荷業者の集荷・販売活動の特徴である農家からミカンを集荷する際の契約事項(集荷する品種や量,期日・時間帯,家庭選別基準など)の簡素さが,ミカン価格低迷下での農家の営農継続に大きく寄与していたことが判明した.簡素な荷の受委託は,大規模に出作地を経営する農家や労働力基盤の弱体化した農家にとって,収穫・選別・出荷作業を省力化できる点で農協共選より好ましかったのである.しかし,1990年代に入りミカンの市場環境が変化すると,集出荷業者が苦境に立たされる一方で農協は糖度センサー選果機の導入を機に糖度別出荷を徹底して販売成績を上げたため,出荷委託先を農協に変更する農家も増え始めた.今後の熊本市河内町では,販売面で優位に立った農協を中心に産地再編が進むと思われるが,集出荷業者も農家ニーズに応じた多様なサービスの継続によって産地維持に一定の役割を果たし続けるものと考えられる.