日本地熱学会誌
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仙岩地熱地域澄川の深部坑井SN-7Dの流体包有物
Benedetto DE VIVO笹田 政克
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1992 年 14 巻 2 号 p. 101-113

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抄録
仙岩地熱地域澄川のSN-7D井は,わが国で最も生産能力の高い地熱井の1つである。地熱流体は主として坑底付近のトーナル岩中のフラクチャーに胚胎しており,その付近から得られたコアには,ヒールされたフラクチャー沿いに多量の流体包有物が見られる。この流体包有物中には,高塩濃度と低塩濃度の流体が捕獲されている。均質化温度を考慮すると,前者は古い時代の流体,後者は現在の地熱流体を捕獲したものと考えられる。現在の地熱流体に対比される流体は,このほかいくつかの深度で熱水性の方解石・硬石膏・ワイラカイト中に捕獲されている。これらの流体の捕獲温度は,現在の地温とよく一致するが,一部の流体包有物中には,冷たい流体がフラクチャーに沿って流入した痕跡も認められる。またケーシングのはいっていない深部では,検層温度よりも低塩濃度の流体包有物の均質化温度の方が,掘削前の地温をより正確に表わしている。
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