日本地熱学会誌
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多孔質体内の沸騰を伴う水―水蒸気流れにおけるトレーサー応答解析に関する基礎的研究
新堀 雄一鴻巣 彬千田 佶
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1992 年 14 巻 2 号 p. 129-144

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抄録

本論文は多孔質体内の水―水蒸気流れにおけるトレーサー解析について述べたものである。実験は373K以上の恒温槽に水平に浸したガラスビーズ充填層を用いて行った。水は一定の圧力勾配のもと充填層に注入され,周井から熱を受け,一部は蒸発する。温度および流れが定常状態に達した後,注射器を用いてトレーサー(約5%のアンモニア水溶液0.5cm3)を数秒間注入する。このトレーサーは充填層内において水の沸騰に伴ってアンモニアガスとして気化し,水蒸気と共に充填層より流出する。出口における水蒸気中のNH3濃度を数分毎にガスクロにより測定する。得られたトレーサー応答は沸騰条件下の水―水蒸気流れにおける物質移動を表現する数学モデルにより解析される。その結果,以下の結論が得られた。 (1)新たに提案した数学モデルは沸騰を伴う水―水蒸気流れにおけるトレーサー応答をほぼ表現する。(2)本モデルにより多孔質体内における水相の沸騰開始点を推定できる。(3)その推定位置は実験的に求められたものと一致する。

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