地殼熱流量に及ぼされる地形の影響を正当に評価するための新しい方法として,熱伝導を表わすラプラス方程式を境界要素法によって解くことを提案する。現実にフィールドで測定された温度勾配のデータと,その坑井の存在する地形条件に合致するような地表面傾斜方向の相異に起因する地表面年平均温度の分布を考慮した数値解との比較を試みた。用いた坑井は仙岩地域の深度250mのH-3坑であり,実測された地温勾配は坑底に向かって下方へ減少しており,深部温度勾配として5.0×10-2℃/mを仮定した計算値と一致する。更に,部分的に観測値が数値解と一致しない区間についても考察を加えた。