日本地熱学会誌
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地層中における二相流の研究(I)基礎方程式と系の水理的特性
由佐 悠紀大石 郁朗
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1986 年 8 巻 3 号 p. 277-299

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抄録
地層中の二相流系における温度,圧力および飽和度の非定常的な分布を記述する厳密な方程式が導かれる。それに基き,二相流系の水理的特性が調べられる。地熱状態に対する外的な荷重変化の効果は非常に小さく,無視することができる。静止した水平な貯留層を微小な擾乱で乱すことにより,圧力変化の伝播に関する拡散方程式が導かれる。その係数を検討することにより,次のことが明らかにされる。(i)二相流系におけるもっとも重要な水理的貯留係数(圧縮率)は相変化によってもたらされる。(ii)その値はおもに温度に依存し,100℃での101bar-1から350℃での10-3bar-1まで変化する。したがって,地下温度分布の解明は水理学的観点からも非常に重要である。(iii)透水係数の大きさが10-3darcy程度,温度が200~250℃より低い二相貯留層における圧力変化の伝播は,熱伝導の影響を受ける。
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