宝石学会誌
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日本における宝石学の歴史について : 年表
大谷 寛
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1999 年 20 巻 1-4 号 p. 175-189

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抄録

本稿は日本における宝石学の歴史について述べるものではなく,その歴史年表についての記載内容を解説するものである。宝石学の意図するものは,宝石そのものの科学的性質,歴史的意義について研究するものと考えられている。宝石の存在価値として,第一に装身に用いられる材質の一つであることがあげられる。そうした観点からこの年表作製にあだってある程度,鉱物学的見地,装身的見地からその項目の選定が行われても当然であると考えた。日本の宝石・装身具の歴史を考えた場合,その研究を専門とする学問分野はなく,したがってその専門学者の存在もなく,一部の鉱物学者・考古学者・服飾学者がその歴史に興味を示し,本来の研究のかたわら,記述・発表しているに留まっているのが現状である。今後,この分野での専門家の誕生が待たれており,当宝石学会においても,この分野の研究がなされることが強く望まれる。しかしながら,鉱物学者,考古学者による研究の内容は,宝石学の研究の一部門として非常に優れた内容をもっている。ただ,これらの学者と宝石学の関係者との接触が密ではなく,その研究の成果が十分に宝石学にとりいれられていないのが現状である。したがって,この年表においても,その内容の多くは鉱物学者,考古学者の研究の成果を記述するものとなり,他学会の発表内容も記載するものとなっている。

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© 1999 宝石学会(日本)
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