宝石学会誌
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スリランカのTissamaharama地域の宝石
ZWAAN P. C.
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1981 年 8 巻 1-4 号 p. 51-60

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抄録

スリランカのTissamaharama地域の宝石:約2年ほど前から,スリランカの南部地方のTissamaharama地域で宝石が採掘されている。興味がひかれる主な場所は,KataramagaおよびKataragama東部約3マイルにあるKochipadanaとを結ぶ方向のTissamaharamaから約6マイルにあるAmarawewaである。宝石は, 深さ約1ヤードの坑中の漂砂鉱床中でみつかり, 含宝石層の深さはほぼ坑の深さにある。したがって, その作業は, とくにKochipadanaでは地表採掘と考えてよい。Awarawewaでは主として宝石質のサファイヤがみつかっている。同様, 大量のブルー・スピネルと帯黄褐色のトルマリンも産出する。ムーンストンおよびアクワマリンのほかに, ほとんど無色のスカポライト, 帯緑色のアパタイト, ダイオプサイド, スフェーンのような稀少宝石も, 1981年2月著者が採集した。Kochipadanaでは, コランダムとくにサファイヤが産出するだけでなく, 美しい帯黄褐色のトルマリン, ブルーのスピネル, アルマンディン・ガーネットおよびヘッソナイト・ガーネットも多量に産出する。重要度は低いが, ジルコン, ベリルおよび水晶も産する。稀小石の中で,アパタイト, ダイオプサイドおよび淡緑色のスボデューメンをあげることができよう。この地域に産する宝石鉱物は, 水磨がごく僅かである点が, 注目に価する。大部分が, よく発達した結晶で, これから, 天然での運搬距離がスリランカの他の産地の宝石鉱物の場合よりも, かなり少なかったことがわかる。したがって, さらに研究を続ければ, これらの宝石がもともとどこで形成されたか(多分この州の同じ場所のどこか)の問題が解決できるであろう。

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© 1981 宝石学会(日本)
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