宝石学会誌
Online ISSN : 2189-8413
Print ISSN : 0385-5090
ISSN-L : 0385-5090
ダイヤモンドの成因と深部ガス仮説
SAUL JOHN M.
著者情報
ジャーナル フリー

1981 年 8 巻 1-4 号 p. 79-85

詳細
抄録

Cornell大学のThomas GoldとStven Soterが行なった地球深部のガスの性質と量についての最近の研究結果がもとになって, 宝石学上の最大のパズルであった問題について新しいアイデアが生まれてきた。このアイデアによると, ダイヤモンドは濃縮ガスの運動によってできたと解釈することができる。このガスの成分の一つは, 非生物起源のメタンで, 150〜250Kmの深さにある空隙を通り, ほとんど純粋な炭素の結晶を沈澱させる。問題のガスは,我々の星(地球)の起源からあった成分で, その運動は, 地球生成以後ひきつづいて行なわれている脱ガス過程の一部であると解釈される。同一起源のガスが, キンバレー岩パイプにより地殻に激しい割れ目をつくる原因にもなり, これによって, 大きな垂直的な温度・圧力領域を通ってダイヤモンドを運び上げ急冷ざせ, 通常の炭素に変換させないまま安全にダイヤモンドを地表にまで運び上げることができるのである。

著者関連情報
© 1981 宝石学会(日本)
前の記事 次の記事
feedback
Top