レプラ
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歯牙及顎に於ける癩性變化に關する研究
上尾 登
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1943 年 14 巻 4 号 p. 298-360_4

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抄録
齒牙及顎の癩性攣化に關する從來の研究には癩病型分類の誤謬,脱灰切片に於ける癩菌の不染色等があつて,未だ其大観か知るにば不備が多かつた。私は脱灰の迅速化に成功し齒牙及顎か同時に一切片ごして癩菌染色を施し検索に供した。尚多年に亘り私は多数の癩患者に臨床上接見し,加之剖檢の機會にも恵まれて得難き症例,即ち從來記載のない斑紋癩,神經癩より結節癩移行期に於ける症例,生齒交換期に於ける症例,埋伏齒の症例等の檢索が出來た。之に依て斑紋及神經癩と結節癩の間に病理組織學上の旺別があることを確認し,結節癩に於ける齒顎の癩罹病の感染経過に神經介達期と血行傳播期の存すること及癩菌傳搬路として神經のあることを主張する。其他上顎骨に於ける癩性齒槽萎縮(弧形萎縮)及前鼻棘の萎縮を登見し,齒牙硬組織に於ける,象牙質發育線に沿ふ癩球の並列,髄壁に新生された第2白堊質,原成(繊維性)白堊質,中間白堊質層に於ける癩菌及癩球等の追及,齒髄,齒齦等に於ける癩菌性液化嚢胞(光田)の形成,齒齦及口蓋粘膜上皮より排泄される癩菌の確認,齒髄内癩性病變に因る限局性,齒根端口外の癩性病變に因る廣汎性(全部性)癩性齒髄懐死の發生及經過,齒根膜のマラッセ氏上皮索遺殘に於ける癩菌の存在,癩浸潤竈に因る齒根端及髄壁象牙質の蠶蝕吸收等々興味深い新知見に接することが出來た。
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© 日本癩学会
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