日本らい学会雑誌
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筋膜皮膚弁のらい病患者足部潰瘍への応用
安 成烈趙 〓瑛
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1993 年 62 巻 3 号 p. 99-110

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抄録
患者の下肢は,末梢神経障害(Neuropathy)による足部の知覚減少が目立つ。それで繰り返す無痛性足部潰瘍がよくみられる。ひんぱんな浅い潰瘍は感染による深部の軟部組織潰瘍及び骨髄炎まで至る状態になる。この治療は患者自身のみならずらい病治療を担当する医療関係者らにも従来より悩みの種であった。今までの治療方法は状態により局所皮弁術,植皮から長時間のギブス装置,部分骨除去による足部短縮術(Wedge-resection),さらに甚だしい症例には足部切断まで適用された。これらの方法は頻繁な再発可能性,長い病床生活,また永久に残る足変形等の各々の欠点から指摘される。
最近,化学療法と国民経済の発達によって新患者発生が減り,活発な早期治療により顔面ならびに手の変形は少なくなった。しかし知覚減少による足部潰瘍は未だ症例も多い。また治療方法も確実に認定しているとは考え難い。実際,らい病患者の手術方法とはいい難い。それまで本院成形外科では1990年から1993年までらい病院から依頼された足部の深部潰瘍患者7名に順行性(Superior-based)交叉下肢後非腹部筋膜皮弁術6例を利用し,脊椎麻酔にて潰瘍部分を切除後,皮弁移動,3週間固定,その後皮弁を切離し,全例で良好な結果が得られた。しかし逆行性皮弁術は1例で施行,末端部の壊死がみられた。
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